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waldszenen: 森の情景

森の入り口から、陽の光に輝く色とりどりの緑の葉、樹の

トンネル、深い雪山など、森の様々な姿を追いました。

新緑や深い緑の森林の中をゆっくりと歩いているような

リラックスした気分でごらんください。

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「森の情景」                              COROMICO

 

 小さな頃から大好きな曲に、シューマンの「森の情景」があります。

 

 作曲家でありながら、大の文学青年でもあったローベルト・シューマンが

ラウベの「狩りの日誌」という作品をもとに作った曲集で、この曲を

聴いていると、自分が小さな子供になって、森の中に入っていくような、

わくわくした、そして少し心細い気分になります。

 よく子供のころ、とてつもなく広大で、大きかった場所が、大人になって

行ってみるとびっくりするほどに小さくて、そのスケール感の変化に

愕然とすることがあります…。

 でも、一人で森の中に入る時、そんな感覚は全然なくて、いつ行っても

子供の頃に森に迷いこんだような、いくばくかの心細さと、そして期待と不安の

入り交じったような、心臓の鼓動を近くに感じます。

 

 その神秘性と自然の雄大さから、高山や森林を愛したロマン派の時代の

作曲家の中でも、シューマンは線が細くて病弱そうで、あまり森の中に入っていくというイメージはない気がします…。 

 どちらかというと登山好きの作曲家はブラームスの方で、よく近所の子供を

引き連れて、お菓子をいっぱいリュックの中につめて近所の山にハイキングに

行っていたそうです。

 でも、この曲を聴いていると、シューマンという人は森というものをよく知って

いたのではないかという気がしてきます…。

 

 心を駆り立てるようなわくわく感のある森の入り口、途中で出会う、日陰にひっそりと咲くさみしげなお花たち、時にはぞっとするようなおどろおどろしい

風景や荒廃した森の姿に出くわしてぞっとしたり、誰かの歩いた踏み跡や、

人の住んでいる形跡のある里山にたどりついてほっとしたり…。

 普段はなんてことないのに、森の中に一人迷いこんでいる時には、木々の

梢の高い高いところで鳴く鳥たちの声にびくっとしたり、人の気配を察知して、早足で逃げていく鹿たちの姿におどろいたり…。

 そして出口にたどりついて後ろを振り返った時、ふたたび穏やかさと美しさを

たたえた静かな森が広がっていて、森へのなつかしさと感謝をいっぱいに

感じながら「また来るよ」と心で、そっとつぶやきながら、その場をあとにする……。

 

 この曲集には、そんな森歩きの喜びも不安も両方つまっていて、ずっと

聴いていくと森にいった時の感覚を追体験できるような気がしてきます…。

 

 今でも、山の上に建てられたヨーロッパの古い城塞都市などでは、一歩

城壁を越えると、広大な森が広がっていることがあります。

 でもそこは、日本人がイメージするような自然を身近に感じられて

心いやされる森のようではなく、少しじめっとした、鬱蒼として陽の光がささず、人のいない、何が起こるかわからない不安をかきたてるような空間…。

 

 だからこそ、森へ入るという体験はいっそうの好奇心と恍惚と、そして不安を

伴う体験で、未知の空間に分け入っていくという、冒険でもあるような気が

します。

 そこには、中世から近代までの間、ずっと森は危険を伴う、異界への入り口、

入ってはならない禁忌の場所とされてきた歴史があるのだと思います。

 でも、美しい、楽しい、心がいやされるというだけでなく、時には人を

寄せ付けない峻厳とした森の見せる、厳しく強い姿におどろいたり、ぞっとしたり、不安を感じたりすることも、大切な森歩きの体験なのだと思います。

 

 そんなあこがれだけでない、森の姿をじかに体験して、ドキドキしながら

「無事にもどれますように」と祈りながら下っていくのですが、それでも出口に

たどり着いた時、懐かしさといとしさで胸がいっぱいになって、思わず後を

振り返って、「必ずまた来よう」と思います。

 そんな風に思わせる、不思議な美しさが、来るたびにいつも違う、

色とりどりの情景が森の中には広がっているから、どうしても行かずに

いられなくなってしまうのかもしれません。

 

  Raro un silenzio, un solitario orrore

  d'ombrosa selva mai tanto mi piacque:

    se non che dal mio sol troppo si perde.

 

    蔭深い森の稀な静寂、孤独な森の恐ろしさが

  この上なく私を惹きつける

  しかし太陽からはこんなにも遠く踏み迷っている

          (Francesco Petrarca, R.V.F.176 ”Per mezz'i boschi")

 

 

 

       30.Luglio.

 

 

 

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 Waldszenen (op.82)Rpbert Schumann pf.: Sviatoslav Richter

  「森の情景」 ローベルト・シューマン 

 

I. Eintritt: 森の入り口          
II. Jäger auf der Lauer: 茂みの中で待ち伏せる狩人
III. Einsame Blumen: さみしいお花
IV. Verrufene Stelle: おそろしい場所
V. Freundliche Landschaft: なつかしい風景
VI. Herberge: 宿
VII. Vogel als Prophet: 予言する鳥
VIII. Jagdlied: 狩りの歌
IX. Abschied: 森への別れ

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