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I colori del'inverno: 冬の色彩

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「ふゆの色彩」                                         COROMICO

 

 前に、染織の展示を見にいったことがあります。

どんぐりや、紫草や、茜など、古来から伝わる、自然の草花や実などを使って染められた

日本の伝統色の美しさにとても心うばわれたのですが、中でもとても気になるものが

ありました…。

 それは、ゆきを表すのに、本当に様々な色のかさね色が存在したことでした…。

 

 同じ白でも、日だまりのようなあたたかみを帯びたやわらかい白、冬の日光に冴え冴えと

輝く、硬質な、青白く輝く白…。

 そして、枯れ草となった金茶色の野原にふりつもった雪の、どことなくやわらかい色合いを

底に秘めた、予感に満ちた白、鈍色の空からどこまでもどこまでも落ちてくる、ゆきの

かけらを思わせるような、暗いグレーの中にふりつもってゆく透明な白……。

 

 1つの白という色の中に、こんなにも多彩な彩り、こんなにも可能性を秘めた輝きが

あるのだということに気づかされて、しばらくその場に立ちつくしていました…。

 

 冬は、色彩のない季節だといわれます…。

でも、よく目をこらしてみると、ふとした瞬間にそのグレーや、白や枯れ草の金茶色の中に

秘められた、あまりに豊かなきらめきが姿をあらわして、胸がおどります。

 

 雪が覆い隠した地面や葉の、淡い淡い白を通してぬけるような透明すぎる色彩の輝き、

一面に葉の枯れた野原が、ちいさな雨粒をやどして、葉の先がきらりと透明に輝く瞬間には

いつも、言葉を忘れて見入ってしまいます…。

 

 そして、冬のくもり空の、重い鈍色の中には、実は、あおや黄色やむらさきやばら色の、

たくさんのたくさんの色彩の輝きを宿しているのだと思います…。

 それが現れるのは、夕暮れや朝やけのふとした瞬間だけ。

 重いくもり空が一瞬だけ、ヴェールを脱いで、その素顔の1つをあらわしてくれた、そんな

ふしぎな思いにとらわれます…。

 

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